手をつくるということ 〜施術前のこだわり〜

こんにちは。

緊急事態宣言を受けて、外出の自粛をされている方も多いと思います。先が見えない状況で、心身ともに負荷がかかりますが、目の前のことにじっくりと取り組みたいと思っているこの頃です。

 

今回は、僕が施術の際に大切にしている、「手をつくる」ということについて書きたいと思います。

施術に関するこだわりはたくさんあるので、書き始めるときっといつまでたっても終わらないのですが…「手をつくる」のは施術をする前のことです。

 

「手をつくる」とはどういうことかと言うと、僕の「普段の生活をしている手」や、「事務仕事をしている手」を、「施術をするための手」に変える、という意味です。「さあ施術するぞ」というメンタル面でのスイッチでもありますが、それ以上に重要なのが、「手の感覚を高める」こと、そして「手に意識を向ける」ことです。

人間の手は、とてもとても繊細なセンサーです。ツボに現れるわずかな気の詰まり、それが緩んでいく感じ、人によって違う筋肉の張りなどを感じ取るために、施術者は最大限にその感覚を活用します。そして、手で感じながら、今までの施術者として積み重ねた経験と照らし合わせつつ、その方の状態を見極めていきます。

やり方は簡単です。ハンドクリームを塗るような要領で、手全体を刺激するだけです。

手のひらをこすり合わせて、それぞれの指をひねりながら指先までつまむ、ということを丁寧に何度か繰り返します。

これをやるだけで、手先の気の巡りがよくなり、指先の感覚がクリアになります。また手の血流が増えて温かくなります。

 

施術者の間では、指先の感覚の訓練方法は色々と話題に上ります。本のページに髪の毛を挟み、一枚ページをめくって紙の上から触り、髪の毛の感触を確かめたらもう一枚ページをめくり、髪の毛の上に何枚ページが載っても髪の毛を感じられるか…とか、ポケットのなかでコインを触って、その種類を当てられるか、とか…。

トレーニングももちろん大切ですが、僕は毎回の施術で、指先の感覚をしっかりと感じようとしていれば、自然と感じられる、と思っています。

 

そしてこれは、カラダの他の部分にも当てはまることです。手でやったように、カラダの一部に意識を集中すると、その部分がいまどうなっているかを感じられます。これは、実はとても大切なことだと思います。

現代では、心と対照的なものとして、カラダは物質的な道具のようなものとして扱っている側面があると思いますが、自分のカラダを、「心とつながる、繊細な感覚をもつもの」として見つめ直すと、本当に色々なことが見えてきます。お腹のなかで腸が動いている感覚、重いものを持った後の腕の重だるい感覚、よく寝た日の朝の、目がパッチリ開く感覚。

こういう感覚を大切にして、自分のカラダ、自分という存在に興味を持つと、自分の調子が分かるようになります。今日は首の右側に違和感があるな、とか少し下半身が疲れているな、とか。施術を受けているときも、押されたところが固いのか、緩んでいるのか、気持ちいいのかイヤな痛みがあるのか、自分のカラダがどう感じているかに目を向けてみていただきたいと思います。自分の状態に気づくと、必要なことを正しく行えるのでセルフケアの効果も倍増します。

結果として、お客様が自分のカラダと心の「今」を感じて、自分でも必要なケアをしつつ、ときどきのメンテナンスにkibacoに来ていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。kibacoでは、より良い毎日が送れるカラダと心をお客様と一緒につくりたいと考えています。